■免震建物の地震時性能 2 最近の強震記録に対する免震建物の安全性 |
最近の地震では、非常に強い地震動が観測されています。最大加速度は 1G を上回り、最大速度は高層建物の設計で慣用されている 50カインを大きく超えて 100カインレベルの記録さえ得られています。 |
1.対象建物 |
ここでは都内にある免震建物(Mビル)を取り上げます。この建物は地下2階地上12階、延床面積約 6,000m2。地下階と地上階の間に配置された13体の LRB免震装置(直径1.0から1.2m) が建物重量約 8,000トンを支えています。 |
2.検討用強震記録 |
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検討対象とする地震動は、最近の地震で観測された最大速度Vmax=100カイン(=cm/s)レベルの強震記録および本建物での観測記録を拡幅したもの(表1)とします。 |
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図1 加速度・速度応答スペクトル
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阪神大震災で観測された神戸海洋気象台の記録は、最大加速度818ガル、最大速度 91カイン。軟弱地盤の神戸ポートアイランドの加速度は341ガルで、速度は 91カインもあります。ノースリッジ地震におけるオリーブビュー病院1階の記録は最大速度112カインです。 |
3.地震応答性能 |
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図2は各階の最大応答加速度を示しています。白印はこの建物が在来耐震構造で充分な水平耐力を有していると仮定した場合の応答です。在来構造では 1,000ガル以上に増幅される加速度が、200から300ガル程度に抑制されています。 |
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図2 最大応答加速度 |
図3 装置の最大変形量 |
4.まとめ |
本検討で対象としたVmax=100カインレベルの地震動に対して、この免震建物は充分安全であると言えます。しかし、免震建物の安全性能も、設計次第で当然建物毎に異なったものとなります。 |
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